テレビや映画で、歴史的に繰り返された失敗といえば3D。2年ほど前にやたらに宣伝された3Dテレビですが、当然のように失敗しました。開発費を傾注したサムスンなどの韓国勢には、会社が傾きかけない極めて重大な失敗です。
というのも、日本のメーカーは昔から研究しており、莫大な開発費を投入しての獲らぬ狸の皮算用は韓国メーカーに限られたのです。1980年代には、晴海の見本市会場で、オーディオフェアやエレショー(エレクトロニクスショー)が盛況し、僕もシャープが開発中の100インチ液晶3Dを体験したことがあります。目の前に魚が泳ぐ3Dです。
このように、日本のメーカーは付け焼刃ではない研究と開発をしてきたので、今回のブームに過剰投資する必要はなかったのです。過剰投資した韓国勢は開発資金を取り戻せません。狸の皮を当て込んで、まんまと罠にハマった感じですね。
さて、3Dの原理は単純で、左右の目に入る視覚情報の差を演出して、脳に立体的な擬似空間を体験させるものです。ですから、左右差の前提となる、人の目の動きや機能の研究から始まっているのです。韓国勢の3Dの評判が悪かったのは、このような基礎研究がされていなかったからです。
人の目は複雑に機能しています。だからこそ、単純な幾何形体すら描くことが難しいのです。例えば、アルミ缶のように寝かせた円柱です。大半の人は、見えている手前の楕円を幅広に描き、奥の隠れている楕円の幅を小さく描く、いわゆる逆パースにしてしまいます。これは、口を酸っぱくして注意しても、一種の直らない病気のようなものです。なぜか?
それは、左側に楕円が見えているセッティングの場合、左の目で左の楕円を観察し、右目で右の楕円を観察しているからです。これが間違い。遠近法の基本は透視なので、絶対に片目で見た光景を再現させなくてはならないのです。人には利き目があり、右目で観ている人と、左目で観ている人の、二通りの視点があります。野球で言えば、右目が利き目の人は左打者に、左目が利き目の人は右打者に向いているのです。ボールを手前の目で見るからです。
利き目を調べる方法は、両目で見ながら遠くの点を指さし、片目ずつ瞑って、指が指している方が利き目となります。僕は右目利きなので左打者向きですが、実際に草野球での惟一のフェンス超えは左打席でした。
目には利き目があるので、左右で観ている世界が違う。身近な例は、測らないでカステラや羊羹を半分に切ってみれば分かります。正確に真ん中に包丁を入れられる人は稀です。訓練や体調で変化しますが、僕はひどい時には1センチもずれていました。
両目の間隔よりも幅の狭いモチーフを、左右の目で別々に見た場合、その側面は両方見えることになります。カメラのような単眼では有り得ない現象です。これが逆パースに見える理由なのです。だから、遠近法で描く場合、観察する段階から利き目による単眼で観なくてはならないのです。
モチーフが大きくなった石膏などでは、描いたものですら、左右の目で見え方が違うのです。立体感や空間の表現は、左右の目の合成として描かれているからです。デッサン講座の最初の段階で注意したように、目の端で斜めから見る人は、この左右差が極端になるのです。物凄く歪んでいても気が付かないほど。
幾何形体の形を注意されても直らない人は、観察して形を描くのではなく、設計図のように理論で描くしかないのです。この角度から見たらこのように見えるはずだという、自然に見える形を作るセンスが必要です。僕は、花入れのガラスポットなどもフリーハンドで描きますが、それは経験として綺麗な形がイメージできているからです。逆パースになる人は、幾何形体の様々な形を印刷して、それを数百回もトレースして綺麗な形を脳に叩きこむほかはありません。
エフライム工房 平御幸
というのも、日本のメーカーは昔から研究しており、莫大な開発費を投入しての獲らぬ狸の皮算用は韓国メーカーに限られたのです。1980年代には、晴海の見本市会場で、オーディオフェアやエレショー(エレクトロニクスショー)が盛況し、僕もシャープが開発中の100インチ液晶3Dを体験したことがあります。目の前に魚が泳ぐ3Dです。
このように、日本のメーカーは付け焼刃ではない研究と開発をしてきたので、今回のブームに過剰投資する必要はなかったのです。過剰投資した韓国勢は開発資金を取り戻せません。狸の皮を当て込んで、まんまと罠にハマった感じですね。
さて、3Dの原理は単純で、左右の目に入る視覚情報の差を演出して、脳に立体的な擬似空間を体験させるものです。ですから、左右差の前提となる、人の目の動きや機能の研究から始まっているのです。韓国勢の3Dの評判が悪かったのは、このような基礎研究がされていなかったからです。
人の目は複雑に機能しています。だからこそ、単純な幾何形体すら描くことが難しいのです。例えば、アルミ缶のように寝かせた円柱です。大半の人は、見えている手前の楕円を幅広に描き、奥の隠れている楕円の幅を小さく描く、いわゆる逆パースにしてしまいます。これは、口を酸っぱくして注意しても、一種の直らない病気のようなものです。なぜか?
それは、左側に楕円が見えているセッティングの場合、左の目で左の楕円を観察し、右目で右の楕円を観察しているからです。これが間違い。遠近法の基本は透視なので、絶対に片目で見た光景を再現させなくてはならないのです。人には利き目があり、右目で観ている人と、左目で観ている人の、二通りの視点があります。野球で言えば、右目が利き目の人は左打者に、左目が利き目の人は右打者に向いているのです。ボールを手前の目で見るからです。
利き目を調べる方法は、両目で見ながら遠くの点を指さし、片目ずつ瞑って、指が指している方が利き目となります。僕は右目利きなので左打者向きですが、実際に草野球での惟一のフェンス超えは左打席でした。
目には利き目があるので、左右で観ている世界が違う。身近な例は、測らないでカステラや羊羹を半分に切ってみれば分かります。正確に真ん中に包丁を入れられる人は稀です。訓練や体調で変化しますが、僕はひどい時には1センチもずれていました。
両目の間隔よりも幅の狭いモチーフを、左右の目で別々に見た場合、その側面は両方見えることになります。カメラのような単眼では有り得ない現象です。これが逆パースに見える理由なのです。だから、遠近法で描く場合、観察する段階から利き目による単眼で観なくてはならないのです。
モチーフが大きくなった石膏などでは、描いたものですら、左右の目で見え方が違うのです。立体感や空間の表現は、左右の目の合成として描かれているからです。デッサン講座の最初の段階で注意したように、目の端で斜めから見る人は、この左右差が極端になるのです。物凄く歪んでいても気が付かないほど。
幾何形体の形を注意されても直らない人は、観察して形を描くのではなく、設計図のように理論で描くしかないのです。この角度から見たらこのように見えるはずだという、自然に見える形を作るセンスが必要です。僕は、花入れのガラスポットなどもフリーハンドで描きますが、それは経験として綺麗な形がイメージできているからです。逆パースになる人は、幾何形体の様々な形を印刷して、それを数百回もトレースして綺麗な形を脳に叩きこむほかはありません。
エフライム工房 平御幸