インフルなので本格的な熱が出る前に更新しておきます (;´Д`)
皇后杯ファイナル二回戦で、日立リヴァーレがデンソー・エアリービーズに苦戦しました。辛くも勝ったものの、デンソーの新戦略抜きに、この名勝負は語れません。
デンソーの山口監督が取る戦術的特徴は、天才セッターの田原愛里を中心に、眞鍋ジャパンが失敗したMB1(通常2人のミドルブロッカーを1人に削る)の反転形式にあります。デンソーチーム内で何と呼んでいるかは知りませんが、ミドルブロッカーを3人に増やしてウイングを1人削る、MB3とも呼ぶべきものです。
日立との第1セット開始時点は普通のMB2
どこのチームでも、終盤のサーブ権の場面で、ワンポイントブロッカーを投入します。攻撃力に数えられないセッターが前衛の場合は、セッターも交換して後衛に配置し、前衛はMB2人、ウイング(W)1名の三枚攻撃陣を構成します。二枚替えと呼ばれる作戦です。このワンポイント作戦が失敗すると、投入されたミドルブロッカーを下げて、セッターも元に戻すのが普通です。
デンソーのチャレンジⅠの開幕戦は普通の二枚替え
ところが、デンソーが投入するワンポイントブロッカーは、作戦が失敗してもそのまま居座って、後衛に下がっても守備までこなします。ちっともワンポイントではないのです。これができる背景は、デンソーのミドルブロッカーの石井里沙選手がウイング出身であるから可能なのですが、新外国人選手のクリスもウイング出身の急造ミドルブロッカーです。何と器用なことかと感心しますが、日本代表落ちした大竹選手だけは元からミドルブロッカーです。実は、このミドルブロッカーの専用機が、バレーボール戦術のボトルネック(限界)でもあるのです。眞鍋監督のMB1は、ミドルブロッカーを減らしてでも攻撃力を求めた結果です。失敗したのは、センター線の守備力が低下するから。
大竹選手が空振りした場面 第1セット
16日の日立リヴァーレとの試合。デンソーは、第1セットをスタンダードなMB2にしてきました。しかし、普通の戦術では、プレミア随一の攻撃パターンと決定力を誇る日立には劣ります。しかも、裏のMB2に起用された大竹選手が不調で、田原セッターとのコンビが合いません。画像は、大竹選手がCクイックを空振りした場面ですが、この時の大竹選手は、右足、左足ジャンプの2歩しかステップしていません。セッターは三拍子のリズムで上げるので、距離の短いCクイックなら、センタープレーヤーは軸足の一歩目を空踏みするなどの工夫が必要なのです。素質の問題ではなく、正しく教わってないだけですけど、ステップを基礎からやり直せば、今回のように遅れることもなくなるのです。
森田、石井の投入で二枚替えしてMB3になった場面
石井投入が成功してMB3で第1セット追い上げ
第2セットは早めにMB3
デンソーは立て続けにセットを落としましたが、石井選手を早めに投入した2セット中盤からは五分で試合を進めます。MB3の最大の利点は、相手ブロッカーが的を絞れず、センターと左右とブロツクが一枚ずつ孤立して分散すること。画像↓は、日立が一枚ブロックにされ、ものの見事にセンターから決められたシーン。最初から石井選手を投入したMB3で3セット目を取り、4セット目も終盤に逆転してセットポイントを握ります。しかし、デンソーには運がなく、ローテーションが最弱のセッター田原とMB大竹の前衛。ウイングも石田選手で、バックトスに絶対の自信を持つ田原セッターが選択したのはMB大竹選手によるライトのブロード。
MB3の利点は、相手ブロッカーが的を絞れず一枚で分散すること
日立の守備陣が崩壊している
3セット目は頭からMB3で日立を撃破
前衛にウイングもできるミドルブロッカー二枚とウイング一枚の最強布陣
最後は日立の守り勝ち
隙きのない守備陣とアタックのコースを読んだ読み勝ち
守る日立は、鍋谷選手と石井選手のバックアタックはないと完全に読み、渡邉選手が一枚で大竹選手のブロードを完璧にブロック。日立の松田監督の的確な指示と、状況から読み勝ちした渡邉選手のファインプレーでした。大竹選手のアタックのコースを、リベロの佐藤あり紗とセッターの佐藤美弥両選手が潰していたのも見逃せません。これで、大竹選手は無理な体勢からクロスに打つしかなくなったからです。
バレーボールは一瞬の判断が求められるスポーツですが、チームの特徴を活かした戦術も進化しています。NECレッドロケッツのように、ミドルブロッカーの島村選手にバックアタックを打たせるのも目先を変えるには面白い方法。逆に、バックアタックのない岡山は進化が限られてしまう。トヨタ車体が開幕戦でMB1を採用しましたが、センター線の守備が崩壊して絵に描いた餅になってしまいました。日立から移籍の細川セッターは、致命的な悪い癖を持っているので、経験の少ない比金桃子セッターに頼るしかない。細川セッターは、大きな体を持て余して小さく使おうとして、バックトスの時にボールをこねくり回してしまう。これがトスが不正確になる理由です。無駄な動きを少なくしないと直りません。
細川セッターと対照的なのが、デンソーの田原セッターです。田原セッターはバックトスで無理に背中を反らしません。背中が硬いのではなく、僕の倍も長い指で、額の前のボールを後ろにトスアップできるからです。手首も無理にこねくり回す必要もないし、フィンガーテクニックだけでバックトスを上げられる。無能なコーチや監督なら矯正させるかもしれないほど、田原愛里という選手は肉体的にも突出しているのです。田原愛里が絶対の自信を持つバックトスは、人一倍長い指から生み出された。日立の佐藤美弥セッターも指が長くて細いですが、泳げないくせに水掻きばかり大きくて指の短いウリには羨ましい限りです (・。・;
皇后杯2016 二日目 日立対デンソー 1,2セット
https://www.youtube.com/watch?v=3fdugPJn04U
皇后杯2016 二日目 日立対デンソー 3,4セット
https://youtu.be/UQvFAGAT5lA
皇后杯ファイナル二回戦で、日立リヴァーレがデンソー・エアリービーズに苦戦しました。辛くも勝ったものの、デンソーの新戦略抜きに、この名勝負は語れません。
デンソーの山口監督が取る戦術的特徴は、天才セッターの田原愛里を中心に、眞鍋ジャパンが失敗したMB1(通常2人のミドルブロッカーを1人に削る)の反転形式にあります。デンソーチーム内で何と呼んでいるかは知りませんが、ミドルブロッカーを3人に増やしてウイングを1人削る、MB3とも呼ぶべきものです。
日立との第1セット開始時点は普通のMB2
どこのチームでも、終盤のサーブ権の場面で、ワンポイントブロッカーを投入します。攻撃力に数えられないセッターが前衛の場合は、セッターも交換して後衛に配置し、前衛はMB2人、ウイング(W)1名の三枚攻撃陣を構成します。二枚替えと呼ばれる作戦です。このワンポイント作戦が失敗すると、投入されたミドルブロッカーを下げて、セッターも元に戻すのが普通です。
デンソーのチャレンジⅠの開幕戦は普通の二枚替え
ところが、デンソーが投入するワンポイントブロッカーは、作戦が失敗してもそのまま居座って、後衛に下がっても守備までこなします。ちっともワンポイントではないのです。これができる背景は、デンソーのミドルブロッカーの石井里沙選手がウイング出身であるから可能なのですが、新外国人選手のクリスもウイング出身の急造ミドルブロッカーです。何と器用なことかと感心しますが、日本代表落ちした大竹選手だけは元からミドルブロッカーです。実は、このミドルブロッカーの専用機が、バレーボール戦術のボトルネック(限界)でもあるのです。眞鍋監督のMB1は、ミドルブロッカーを減らしてでも攻撃力を求めた結果です。失敗したのは、センター線の守備力が低下するから。
大竹選手が空振りした場面 第1セット
16日の日立リヴァーレとの試合。デンソーは、第1セットをスタンダードなMB2にしてきました。しかし、普通の戦術では、プレミア随一の攻撃パターンと決定力を誇る日立には劣ります。しかも、裏のMB2に起用された大竹選手が不調で、田原セッターとのコンビが合いません。画像は、大竹選手がCクイックを空振りした場面ですが、この時の大竹選手は、右足、左足ジャンプの2歩しかステップしていません。セッターは三拍子のリズムで上げるので、距離の短いCクイックなら、センタープレーヤーは軸足の一歩目を空踏みするなどの工夫が必要なのです。素質の問題ではなく、正しく教わってないだけですけど、ステップを基礎からやり直せば、今回のように遅れることもなくなるのです。
森田、石井の投入で二枚替えしてMB3になった場面
石井投入が成功してMB3で第1セット追い上げ
第2セットは早めにMB3
デンソーは立て続けにセットを落としましたが、石井選手を早めに投入した2セット中盤からは五分で試合を進めます。MB3の最大の利点は、相手ブロッカーが的を絞れず、センターと左右とブロツクが一枚ずつ孤立して分散すること。画像↓は、日立が一枚ブロックにされ、ものの見事にセンターから決められたシーン。最初から石井選手を投入したMB3で3セット目を取り、4セット目も終盤に逆転してセットポイントを握ります。しかし、デンソーには運がなく、ローテーションが最弱のセッター田原とMB大竹の前衛。ウイングも石田選手で、バックトスに絶対の自信を持つ田原セッターが選択したのはMB大竹選手によるライトのブロード。
MB3の利点は、相手ブロッカーが的を絞れず一枚で分散すること
日立の守備陣が崩壊している
3セット目は頭からMB3で日立を撃破
前衛にウイングもできるミドルブロッカー二枚とウイング一枚の最強布陣
最後は日立の守り勝ち
隙きのない守備陣とアタックのコースを読んだ読み勝ち
守る日立は、鍋谷選手と石井選手のバックアタックはないと完全に読み、渡邉選手が一枚で大竹選手のブロードを完璧にブロック。日立の松田監督の的確な指示と、状況から読み勝ちした渡邉選手のファインプレーでした。大竹選手のアタックのコースを、リベロの佐藤あり紗とセッターの佐藤美弥両選手が潰していたのも見逃せません。これで、大竹選手は無理な体勢からクロスに打つしかなくなったからです。
バレーボールは一瞬の判断が求められるスポーツですが、チームの特徴を活かした戦術も進化しています。NECレッドロケッツのように、ミドルブロッカーの島村選手にバックアタックを打たせるのも目先を変えるには面白い方法。逆に、バックアタックのない岡山は進化が限られてしまう。トヨタ車体が開幕戦でMB1を採用しましたが、センター線の守備が崩壊して絵に描いた餅になってしまいました。日立から移籍の細川セッターは、致命的な悪い癖を持っているので、経験の少ない比金桃子セッターに頼るしかない。細川セッターは、大きな体を持て余して小さく使おうとして、バックトスの時にボールをこねくり回してしまう。これがトスが不正確になる理由です。無駄な動きを少なくしないと直りません。
細川セッターと対照的なのが、デンソーの田原セッターです。田原セッターはバックトスで無理に背中を反らしません。背中が硬いのではなく、僕の倍も長い指で、額の前のボールを後ろにトスアップできるからです。手首も無理にこねくり回す必要もないし、フィンガーテクニックだけでバックトスを上げられる。無能なコーチや監督なら矯正させるかもしれないほど、田原愛里という選手は肉体的にも突出しているのです。田原愛里が絶対の自信を持つバックトスは、人一倍長い指から生み出された。日立の佐藤美弥セッターも指が長くて細いですが、泳げないくせに水掻きばかり大きくて指の短いウリには羨ましい限りです (・。・;
皇后杯2016 二日目 日立対デンソー 1,2セット
https://www.youtube.com/watch?v=3fdugPJn04U
皇后杯2016 二日目 日立対デンソー 3,4セット
https://youtu.be/UQvFAGAT5lA