読者の一人が毎日デッサンをするというので、こちらも支援体制を整えることにしました。読者は全くの素人なので、本当に一からの始まりです。
まず、デッサンと言っても鉛筆と木炭の二つあります。鉛筆は線や形を掘り起こす作業に強く、熟練すると石膏デッサンも彫刻刀で木を削る感覚で出来るようになります。
対して、木炭の場合はトーン(調子)の表現に優れています。特に、木炭を指で叩いて紙に押し込んだり、ガーゼで擦り込むことで、立体感や空間を容易に表現することができます。鉛筆デッサンが彫刻刀にたとえられるなら、木炭デッサンは塑像に粘土を指で塗る感じです。
デッサンに必要な用具は、鉛筆の場合にはステッドラーの3B〜4Hと、練り消しゴム(練りゴム)と消しゴムです。ステッドラーは高価ですが、指で擦る技法で威力を発揮します。レオナルド・ダ・ヴィンチのスフマート(Sfumato)という技法は、薄い色の塗り重ねですが、鉛筆の場合にも何重にも重ねて色彩感を出すことができます。鉛筆は芯が丸くならないように、常に尖らせておきます。
木炭デッサンの場合は、木炭の種類がたくさんあるので、自分で試して指に合うものを選ぶしかありません。大面積用に柔らかく太いもの、トーンを描くのに良い柳製のもの、細部描写には細くて固いものを選びます。いずれも、アルミなどが巻いてあれば剥がし、専用の用具で木炭の中心の黒い芯を抜き取っておきます。
他に、木炭紙とカルトンとガーゼと食パン。食パンは消しゴム替わりですが、予備校の時は空腹時にかじったものです。糖分の少ないものがベスト。糖分が多いと木炭紙が汚れます。ガーゼは、軽く叩いたり擦る時に使います。それから、木炭で床が汚れるので養生は大切です。
木炭デッサンで欠かせないのがイーゼルですが、これは高価だし、丈夫なのは置き場所に困るので自作します。棚を作る時に使った、18ミリの切れ込みの入った120センチ高の脚が2本(大作を制作するなら180センチでも一向に構いませんw)。支えとなる90センチ高が1本。ヒンジが一個。カルトンを乗せる横木と、左右の脚を連結する板が三枚とネジ少々。
今回はミニミカエルを作った時の450ミリ幅の余り板を活用したので、ネジが25ミリでも少し長く、ワッシャーを二枚重ねにしてネジが裏に出ないようにしました。脚のネジ穴は最初から設えてあるので便利ですが、長いネジが使えないのは想定外でした。ネジ穴は微妙にずれていたりするので、現物合わせが良いでしょう。
支え木となる90センチ脚は、ドア用のヒンジで固定します。今回は三穴の物を使い、本体側と合わせて6個の穴。向かい合った三角形でイスラエルの集合を表しています。支え木を固定する板は、部分的に二枚重ねにして、ネジ穴が貫通しないように配慮。ネジは5ミリ径の16ミリ長です。ヒンジと同色のガンメタルブラックが手持ちにあったので、それを使いました。強度は十分です。支え木の切れ込みには、紐を付けて本体の横木と結び、脚が開き過ぎて倒れるのを防ぎます。
カルトンを乗せる横木ですが、9ミリ厚の板を二枚重ねにして挟み込むだけでも落ちません。しかし少し緩いので、何かで楔(くさび)を打ち込めば万全です。神の契約を想起させます。描いている最中にカルトンが横木からずれて落下が心配な人は、横木に出っ張りを付けておけば安心です。画鋲でも大丈夫です。カルトンの大きさや椅子の高さによって、横木を差し込む位置が変わります。カルトンは、木炭紙大が一つは必要。木炭紙を曲げないように保存するためです。画用紙用にハーフサイズもあれば便利。
木炭紙は、木炭を削るために一枚は犠牲が必要です。最初に失敗したものを使えば一石二鳥ですが、実際には削った木炭が上に重ねた一枚に転写するので、二枚は犠牲になります。木炭紙は指で叩いて木炭を押し込むためのクッション領域が必要で、最低でも5枚程度は重ねて使います。一番下の二枚は犠牲ですが、出来上がった作品は下に敷くと劣化するので製作用のカルトンから外して保存します。
鉛筆でも木炭でもパステルでも、最後はフィクサチーフと呼ばれる定着スプレーで固定します。メーカーによって名前が違いますが、頭を固めるヘアスプレーと原理は同じです。かけすぎてシミにならないように注意。ガス警報機と狭い部屋でのガス中毒にも注意。
エフライム工房 平御幸
まず、デッサンと言っても鉛筆と木炭の二つあります。鉛筆は線や形を掘り起こす作業に強く、熟練すると石膏デッサンも彫刻刀で木を削る感覚で出来るようになります。
対して、木炭の場合はトーン(調子)の表現に優れています。特に、木炭を指で叩いて紙に押し込んだり、ガーゼで擦り込むことで、立体感や空間を容易に表現することができます。鉛筆デッサンが彫刻刀にたとえられるなら、木炭デッサンは塑像に粘土を指で塗る感じです。
デッサンに必要な用具は、鉛筆の場合にはステッドラーの3B〜4Hと、練り消しゴム(練りゴム)と消しゴムです。ステッドラーは高価ですが、指で擦る技法で威力を発揮します。レオナルド・ダ・ヴィンチのスフマート(Sfumato)という技法は、薄い色の塗り重ねですが、鉛筆の場合にも何重にも重ねて色彩感を出すことができます。鉛筆は芯が丸くならないように、常に尖らせておきます。
木炭デッサンの場合は、木炭の種類がたくさんあるので、自分で試して指に合うものを選ぶしかありません。大面積用に柔らかく太いもの、トーンを描くのに良い柳製のもの、細部描写には細くて固いものを選びます。いずれも、アルミなどが巻いてあれば剥がし、専用の用具で木炭の中心の黒い芯を抜き取っておきます。
他に、木炭紙とカルトンとガーゼと食パン。食パンは消しゴム替わりですが、予備校の時は空腹時にかじったものです。糖分の少ないものがベスト。糖分が多いと木炭紙が汚れます。ガーゼは、軽く叩いたり擦る時に使います。それから、木炭で床が汚れるので養生は大切です。
木炭デッサンで欠かせないのがイーゼルですが、これは高価だし、丈夫なのは置き場所に困るので自作します。棚を作る時に使った、18ミリの切れ込みの入った120センチ高の脚が2本(大作を制作するなら180センチでも一向に構いませんw)。支えとなる90センチ高が1本。ヒンジが一個。カルトンを乗せる横木と、左右の脚を連結する板が三枚とネジ少々。
今回はミニミカエルを作った時の450ミリ幅の余り板を活用したので、ネジが25ミリでも少し長く、ワッシャーを二枚重ねにしてネジが裏に出ないようにしました。脚のネジ穴は最初から設えてあるので便利ですが、長いネジが使えないのは想定外でした。ネジ穴は微妙にずれていたりするので、現物合わせが良いでしょう。
支え木となる90センチ脚は、ドア用のヒンジで固定します。今回は三穴の物を使い、本体側と合わせて6個の穴。向かい合った三角形でイスラエルの集合を表しています。支え木を固定する板は、部分的に二枚重ねにして、ネジ穴が貫通しないように配慮。ネジは5ミリ径の16ミリ長です。ヒンジと同色のガンメタルブラックが手持ちにあったので、それを使いました。強度は十分です。支え木の切れ込みには、紐を付けて本体の横木と結び、脚が開き過ぎて倒れるのを防ぎます。
カルトンを乗せる横木ですが、9ミリ厚の板を二枚重ねにして挟み込むだけでも落ちません。しかし少し緩いので、何かで楔(くさび)を打ち込めば万全です。神の契約を想起させます。描いている最中にカルトンが横木からずれて落下が心配な人は、横木に出っ張りを付けておけば安心です。画鋲でも大丈夫です。カルトンの大きさや椅子の高さによって、横木を差し込む位置が変わります。カルトンは、木炭紙大が一つは必要。木炭紙を曲げないように保存するためです。画用紙用にハーフサイズもあれば便利。
木炭紙は、木炭を削るために一枚は犠牲が必要です。最初に失敗したものを使えば一石二鳥ですが、実際には削った木炭が上に重ねた一枚に転写するので、二枚は犠牲になります。木炭紙は指で叩いて木炭を押し込むためのクッション領域が必要で、最低でも5枚程度は重ねて使います。一番下の二枚は犠牲ですが、出来上がった作品は下に敷くと劣化するので製作用のカルトンから外して保存します。
鉛筆でも木炭でもパステルでも、最後はフィクサチーフと呼ばれる定着スプレーで固定します。メーカーによって名前が違いますが、頭を固めるヘアスプレーと原理は同じです。かけすぎてシミにならないように注意。ガス警報機と狭い部屋でのガス中毒にも注意。
エフライム工房 平御幸