疲れが取れません orz
お風呂に入って2時間だけが活動できる状態で、全身の痛みと脹脛の凝りとが酷く、昨日は買った野菜サラダ(結構高い)をミロードに置き忘れても気が付かないほど。バレーボール観戦でと言うか、選手の疲れが乗り移ったみたいです orz
本当は、日立リヴァーレの佐々木選手のフォームをアニメーションGIFにして、久光の新鍋選手と比較出来るようにしたかったのですが、体力的に無理なので画像でお茶を濁します。今回のテーマは、「力みとタイミングの相関」についてです。
スポーツの世界は力みは禁物と誰でも知っていますが、でも力みが具体的にどのようなマイナス効果をもたらすのかを説明できる人は多くありません。プロ野球の投球理論やバッティング理論のように、ほとんどが経験値として受け継がれているからです。本当はスポーツ科学の分野なんですけど。
日立リヴァーレの新エース佐々木選手は、昨年まではホームランを打つ選手という評価でした。しかし、今シーズンのリーグ戦では確実性がアップし、そのパワーを活かした決定力に驚きの声が続々と上がりました。でも、皇后杯の決勝戦では、疲れからかブロックにかかるシーンが目立ちました。なぜ、疲れるとブロックにかかってしまうのでしょうか?
この試合で目についたのが、背の少し低い久光の新鍋選手です。新鍋選手はガッシリした体格とは裏腹に、パワーで押すタイプではなく巧さもあります。この二人を比較することで、バレーボールの本質が理解しやすくなるのです。
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佐々木選手の理想的な練習フォーム
鞭のようにしなっている
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佐々木選手のブロックにかかった時のフォーム
ヘッドアップして後ろに反り返っている
まず、佐々木選手の練習シーンですが、無駄な力が入っていない、腰を中心として鞭のように手先まで撓(しな)る理想的なフォームです。ところが、試合では力みが見られ、ヘッドアップして肩と胸に回転の中心が移動し、肝心の手首が硬くなって手先が出てきません。このフォームではロスが大きいので腹筋が疲れます。試合後に後ろ手に組むわけです。
サーカスで猛獣を調教する鞭は、先端がマッハ(音速)を超えるスピードに達するので、衝撃波でパチンという音になるのです。動物や物を叩いている音ではありません。この鞭のように、腰を中心として、肩から肘、そして手首から指先へと、先端に行くほどスピードが上がる運動を「鞭の原理」と言います。野球の投手の腕の振り方も鞭の原理。バドミントンのラケットの使い方も鞭の原理です。
バレーボールでも、アタックの時の体の使い方は鞭の原理に従っています。腰から胸と肩、肩から肘、肘から手首、手首から指先へと力が伝わりボールを叩く。この時に、腰から手首までの一箇所でも余分な力が加われば、鞭のようなしなやかさが失われて手先のスピードが落ちます。ボールに当たるタイミングが1/100秒以上もずれてしまう。
たかが1/100秒と思われるかもしれませんが、セッターが上げたボールが落下する距離は0.1秒で9.8センチ。→こちら。1/100秒では約1センチの誤差になります。実際には、ボールは何十センチも落ちてきているところを叩くから、1/100秒間に3~4センチも誤差が出ます。アタックする瞬間に、手がボールの中心から3センチずれたらどうなるか?タイミングが早い場合はコートの外にホームランか、タイミングが遅れれば相手のブロックかネットにかかってしまいます。
バレーボールでフェイントが多いのは、この微妙なタイミングがずれていることが多く、パオリーニのように背の高い外人だと空中でタイミングのズレを補正できる。でも、パオリーニにも補正の限界があります。やはり、セッターとアタッカーの間にはジャストなタイミングが必要不可欠で、それはセッターの全責任ではなくて、アタッカーの力みという目に見えない要素も大きいのです。
佐々木選手の調子が悪い時、あるいは疲れている時は、力んでヘッドアップする。その結果、背中をそっくり返して打つので重心がずれて強打が打てない。ヘッドアップした分、相手コートが見えにくくなる。打つタイミングが遅くなるので相手のブロックにかかる。イメージで言えば、ボールを頭の前で叩くのではなく、頭の後ろで叩く感じに見える。これらは力まない時には影を潜めます。
低いトスで早く打つという戦法がありますが、これは相手ブロック云々以前に、ボール落下直後の落下スピードがゼロの時に叩けば芯に当たるという理屈でもあるのです。ボールが上がりきった頂点で叩けば中心にヒットしやすい。でもこれが横方向のタイミング的に難しいから、センタープレーヤーは大変なのです。
逆に、オープンに開いてボールを高く上げてもらう場合が多いのがウイングプレーヤーです。ボールが高い分、相手のブロックが間に合いますが、ここで物を言うのがワンタッチの取り方。力まないで手先の先端スピードが十分なときは、相手のブロックを弾いてブロックアウトになります。力んで先端スピードが落ちればドシャっと止められる。
力まない打ち方には別のメリットがあり、それは手首でコースを変えられるということです。野球で言うところのシュート回転やスライダー回転をボールに与え、絶妙なコースに打ち込むことが出来る。新鍋選手は、力んで反っくり返ることがないので、相手のコートがよく見えて、相手の死角に打ち込むことが出来るのです。
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二枚とも新鍋選手がインに決めた時のフォーム
タイミングがずれて前掛かりでも相手ブロックが見えている
肘から先の先端スピードが早いのが分かる
スポーツの本質は力を抜くこと。鞭の原理は、コンニャク体操の野口先生が教えてくれたものですが、握り締めたゲンコツで殴るより空手のように手刀で殴るほうが速いそうです。プロボクサーはグローブの中で指の力を抜いているとか。体を鞭のように使えたら、それは余分な力が抜けた達人の領域なんでしょうね。
なお、今年から阪神競馬場に移った朝日杯フューチュリティステークス。中山のトリッキーなコースとは違い、力の差が結果として出やすいと考えられています。オルフェーヴルの全弟アッシュゴールドが注目ですが、オルフェーヴルも良くなったのはクラシック直前の春ですから、僕はこの時期に使うのは疑問です。勝つかもしれませんが。
夏の札幌以来となるブライトエンブレムは、ダービー馬ロジユニヴァースと同じローテーション。ディープインパクト産駒のダノンプラチナは、先週のジュベナイルフィリーズと同じ蛯名騎手+唯一のディープインパクト産駒。ナヴィオンは距離が長いから消しで、クラリティスカイとコスモナインボールまで。来週の中山のホープフルステークスに期待です。
エフライム工房 平御幸
お風呂に入って2時間だけが活動できる状態で、全身の痛みと脹脛の凝りとが酷く、昨日は買った野菜サラダ(結構高い)をミロードに置き忘れても気が付かないほど。バレーボール観戦でと言うか、選手の疲れが乗り移ったみたいです orz
本当は、日立リヴァーレの佐々木選手のフォームをアニメーションGIFにして、久光の新鍋選手と比較出来るようにしたかったのですが、体力的に無理なので画像でお茶を濁します。今回のテーマは、「力みとタイミングの相関」についてです。
スポーツの世界は力みは禁物と誰でも知っていますが、でも力みが具体的にどのようなマイナス効果をもたらすのかを説明できる人は多くありません。プロ野球の投球理論やバッティング理論のように、ほとんどが経験値として受け継がれているからです。本当はスポーツ科学の分野なんですけど。
日立リヴァーレの新エース佐々木選手は、昨年まではホームランを打つ選手という評価でした。しかし、今シーズンのリーグ戦では確実性がアップし、そのパワーを活かした決定力に驚きの声が続々と上がりました。でも、皇后杯の決勝戦では、疲れからかブロックにかかるシーンが目立ちました。なぜ、疲れるとブロックにかかってしまうのでしょうか?
この試合で目についたのが、背の少し低い久光の新鍋選手です。新鍋選手はガッシリした体格とは裏腹に、パワーで押すタイプではなく巧さもあります。この二人を比較することで、バレーボールの本質が理解しやすくなるのです。

佐々木選手の理想的な練習フォーム
鞭のようにしなっている

佐々木選手のブロックにかかった時のフォーム
ヘッドアップして後ろに反り返っている
まず、佐々木選手の練習シーンですが、無駄な力が入っていない、腰を中心として鞭のように手先まで撓(しな)る理想的なフォームです。ところが、試合では力みが見られ、ヘッドアップして肩と胸に回転の中心が移動し、肝心の手首が硬くなって手先が出てきません。このフォームではロスが大きいので腹筋が疲れます。試合後に後ろ手に組むわけです。
サーカスで猛獣を調教する鞭は、先端がマッハ(音速)を超えるスピードに達するので、衝撃波でパチンという音になるのです。動物や物を叩いている音ではありません。この鞭のように、腰を中心として、肩から肘、そして手首から指先へと、先端に行くほどスピードが上がる運動を「鞭の原理」と言います。野球の投手の腕の振り方も鞭の原理。バドミントンのラケットの使い方も鞭の原理です。
バレーボールでも、アタックの時の体の使い方は鞭の原理に従っています。腰から胸と肩、肩から肘、肘から手首、手首から指先へと力が伝わりボールを叩く。この時に、腰から手首までの一箇所でも余分な力が加われば、鞭のようなしなやかさが失われて手先のスピードが落ちます。ボールに当たるタイミングが1/100秒以上もずれてしまう。
たかが1/100秒と思われるかもしれませんが、セッターが上げたボールが落下する距離は0.1秒で9.8センチ。→こちら。1/100秒では約1センチの誤差になります。実際には、ボールは何十センチも落ちてきているところを叩くから、1/100秒間に3~4センチも誤差が出ます。アタックする瞬間に、手がボールの中心から3センチずれたらどうなるか?タイミングが早い場合はコートの外にホームランか、タイミングが遅れれば相手のブロックかネットにかかってしまいます。
バレーボールでフェイントが多いのは、この微妙なタイミングがずれていることが多く、パオリーニのように背の高い外人だと空中でタイミングのズレを補正できる。でも、パオリーニにも補正の限界があります。やはり、セッターとアタッカーの間にはジャストなタイミングが必要不可欠で、それはセッターの全責任ではなくて、アタッカーの力みという目に見えない要素も大きいのです。
佐々木選手の調子が悪い時、あるいは疲れている時は、力んでヘッドアップする。その結果、背中をそっくり返して打つので重心がずれて強打が打てない。ヘッドアップした分、相手コートが見えにくくなる。打つタイミングが遅くなるので相手のブロックにかかる。イメージで言えば、ボールを頭の前で叩くのではなく、頭の後ろで叩く感じに見える。これらは力まない時には影を潜めます。
低いトスで早く打つという戦法がありますが、これは相手ブロック云々以前に、ボール落下直後の落下スピードがゼロの時に叩けば芯に当たるという理屈でもあるのです。ボールが上がりきった頂点で叩けば中心にヒットしやすい。でもこれが横方向のタイミング的に難しいから、センタープレーヤーは大変なのです。
逆に、オープンに開いてボールを高く上げてもらう場合が多いのがウイングプレーヤーです。ボールが高い分、相手のブロックが間に合いますが、ここで物を言うのがワンタッチの取り方。力まないで手先の先端スピードが十分なときは、相手のブロックを弾いてブロックアウトになります。力んで先端スピードが落ちればドシャっと止められる。
力まない打ち方には別のメリットがあり、それは手首でコースを変えられるということです。野球で言うところのシュート回転やスライダー回転をボールに与え、絶妙なコースに打ち込むことが出来る。新鍋選手は、力んで反っくり返ることがないので、相手のコートがよく見えて、相手の死角に打ち込むことが出来るのです。


二枚とも新鍋選手がインに決めた時のフォーム
タイミングがずれて前掛かりでも相手ブロックが見えている
肘から先の先端スピードが早いのが分かる
スポーツの本質は力を抜くこと。鞭の原理は、コンニャク体操の野口先生が教えてくれたものですが、握り締めたゲンコツで殴るより空手のように手刀で殴るほうが速いそうです。プロボクサーはグローブの中で指の力を抜いているとか。体を鞭のように使えたら、それは余分な力が抜けた達人の領域なんでしょうね。
なお、今年から阪神競馬場に移った朝日杯フューチュリティステークス。中山のトリッキーなコースとは違い、力の差が結果として出やすいと考えられています。オルフェーヴルの全弟アッシュゴールドが注目ですが、オルフェーヴルも良くなったのはクラシック直前の春ですから、僕はこの時期に使うのは疑問です。勝つかもしれませんが。
夏の札幌以来となるブライトエンブレムは、ダービー馬ロジユニヴァースと同じローテーション。ディープインパクト産駒のダノンプラチナは、先週のジュベナイルフィリーズと同じ蛯名騎手+唯一のディープインパクト産駒。ナヴィオンは距離が長いから消しで、クラリティスカイとコスモナインボールまで。来週の中山のホープフルステークスに期待です。
エフライム工房 平御幸